【伝統的工芸品のご紹介】~井波彫刻(富山県)~

【伝統的工芸品のご紹介】~井波彫刻(富山県)~

【名称】

井波彫刻

 

 

【井波彫刻の産地】

富山県南砺市

 

 

【井波彫刻とは?】

富山県南砺市の井波地区に古くから伝わる、熟練した技術で彫り上げていく木彫刻。

材料となるのは、主にケヤキ、クスノキ、キリなどの国産木材です。

花鳥、魚や動物、龍、人物などを題材にして、和室の天井と鴨居の間に設けられる欄間、仏教工芸品、ついたて、置物など幅広く製作されています。

 

古来の伝統を重んじながら、新しい可能性にも積極的に挑戦し続けています。

例えば、井波彫刻の技術を用いて作る「木製のシャンデリア」「龍や獅子の彫刻が施されたエレキギター」などを生み出す彫刻家が、続々と世に出てきています。

 

1975年5月、伝統的工芸品に指定されました。

 

 

【井波彫刻の特徴】

 

大きな特徴は、立体感があり、まるで生きているかのようなダイナミックかつ繊細な彫刻です。

これらは、職人たちの精緻な木工技術による賜物と言えるでしょう。

 

ひとつの彫刻を完成させるまでに200本以上のノミや彫刻刀を駆使し、後述する粗削り、仕上げ彫りなどを行います。

特に代表的なのが、欄間を作る際に用いる「透かし彫り」という技法です。

裏面と表面の両方から、幾重にも重ねた立体的な彫りを施すことで、動物や龍などが今にも飛び出してきそうな躍動感を生み出しています。

また、どちら側から見ても、何層にも深く彫り込まれた奥行を感じ取ることができるのです。

 

 

【井波彫刻の歴史】

1763年、瑞泉寺が火災によって焼失してしまいました。

再建するため、京都本願寺の御用彫刻師であった前川三四郎が、派遣されたのです。

再建工事に参加していた地元の大工が、彫刻の技を前川氏から継承してもらったことが始まりであると言われています。

 

再建に携わっていた地元の大工・番匠屋九代七左衛門は、瑞泉寺で有名な「式台門(菊の門とも呼ばれる)」、門扉の両脇を飾る「獅子の子落とし」を彫りました。

これらは彼の代表作ですが、浮き彫りの技法が駆使されており、日本の木彫刻史上に残る傑作中の傑作と言われています。

 

 

江戸時代では、大工が彫刻師の仕事も兼任していることが多く、寺院などから彫刻の仕事を請け負っていました。

 

明治時代に入ると、彫刻技術や芸術性の高さを評価されるようになり、彫刻師の仕事を専門とする人が出てきたのです。

最初は神社仏閣彫刻や寺社の装飾彫刻を主に行っていましたが、次第に住宅の欄間や置物などを彫るようになります。

その結果、一般大衆にも広く認知され、需要も高まっていきました。

 

1915年、井波彫刻の大家・大島五雲(初代)作の『書院欄間』が、サンフランシスコ万国博覧会において名誉金賞を受賞します。

当時、井波彫刻師たちが多くの門下生を育てたこともあり、彫刻に携わる人の数は大きく増えました。

 

1947年、井波彫刻技能者養成所が開所し、1958年には県認定の職業訓練所になります。

 

1991年には、「木彫りを通して世界をつなぐ」をテーマに、世界各国から彫刻家を招く「南砺市いなみ国際木彫刻キャンプ」をスタート。

4年に一度開催され、富山県を代表する国際交流イベントとなっています。

 

こうした活動を通すことで、井波彫刻に魅了された若者による入門が増えました。

現在では、全国一となる200名以上の彫刻技術者が存在し、さらなる発展を目指しています。

 

 

【井波彫刻の製作工程】

①下絵

参照元:北日本新聞社

 

主に材料となるのは、国産のクスノキ、ケヤキ、キリなどです。

まず、木材に含まれる水分量を減らすため、半年~1年ほどかけて自然乾燥させます。

乾燥後、製作物のサイズに合わせた大きさに切断します。

 

下絵は和紙に描き、その後、木材に映し取ります。

木に直接下書きを行わないのは、彫り進めると消えてしまい、デザイン通りに完成したか判断できなくなってしまうからです。

 

②粗あけ

木材の写し取った下絵をもとにして、製作に不要な部分をおおまかに削る工程です。

 

③粗落とし

おおまかに削った木材を、今度は細かく彫っていく工程です。

ノミを叩く道具であるゲンノウ、ノミなどを用いて、輪郭を含めた作品の全体像がわかるまで彫ります。

彫った後、あらためて1ヵ月ほど自然乾燥させます。

 

④粗削り

 

200~300種類ほどあるノミや彫刻刀を使い分けながら、粗落としした木材の表面・裏面の両方を形作っていく工程です。

「透かし彫り」という技法を用いながら、どちらの面から見ても奥行きがあり、立体的のある作品に彫り上げていきます。

 

⑤仕上げ彫り

凹凸やザラつきのある表面を、なめらかにしていく工程です。

特徴的なのは、紙ヤスリは一切用いずに整えていくこと。

細かい箇所を細工するための小さなカンナを使用し、表面の凹凸などを均一に平らにしていきます。

 

その後、必要があれば彩色したり、追加で装飾を行います。

最後、デザイン通りに仕上がっているか確認。

問題があれば修正する「ダメ直し」を行ったら、作品の完成です。

 

 

 

 

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