【伝統的工芸品のご紹介】~岐阜提灯(岐阜県)~

【伝統的工芸品のご紹介】~岐阜提灯(岐阜県)~

【名称】

岐阜提灯

 

 

【岐阜提灯の産地】

岐阜県岐阜市

 

 

【岐阜提灯とは?】

岐阜県岐阜市で製作されている提灯で、400年ほどの歴史があります。(諸説あり)

提灯と聞くと、お盆の時期に故人を迎えるために飾る「盆提灯」を思い浮かべる方が多いかもしれません。

現在では、室内照明などのインテリアとして利用する人も増えています。

 

主に下記の2種類あります。

・吊り下げ式で、つぼ型の「御所提灯」(岐阜提灯とも呼ばれる)

・脚が付いていて置き型である「大内行灯」

 

その他、岐阜提灯よりも幅が広く、まん丸な形をした「御殿丸」などもあります。

 

1995年4月、伝統的工芸品に指定されました。

 

 

【岐阜提灯の特徴】

大きな特徴は、下記になります。

 

・同じく伝統的工芸品である「美濃和紙」を材料に用いている

・秋草や鳥、風景などの繊細で美しい絵付け

 

美濃和紙は、薄くてムラがないのに耐久性があることで知られています。

また、材料の一つである竹ひごも、極めて細いものを使用しています。

「薄い紙」「極細の竹ひご」「繊細かつ優美な絵付け」が三位一体となり、人々を魅了し続けている提灯です。

 

 

【岐阜提灯の歴史】

岐阜市は、美濃和紙という良質な和紙で有名な美濃市に近く、竹の産地でもありました。

これが要因となり、提灯以外にも「岐阜和傘」「岐阜うちわ」といった伝統工芸が発展したのでしょう。

 

岐阜提灯の起源については諸説あり、そのひとつは16世紀に作られるようになったという説です。

書物『岐阜志略』には、江戸幕府三代将軍・家光の時に、初めて幕府に献上されたと記されています。

 

他には、1751~1763年頃、岐阜の提灯屋十蔵が提灯を製作し、尾張藩に上納したのがはじまりだという説も存在します。

 

岐阜提灯は一般にも流通していましたが、幕府に献上されるような高級品であったためか、日本国内に出回るほど生産はされていなかったようです。

 

岐阜提灯が脚光を浴びるキッカケとなったのは、1878年。

明治天皇が北陸東海地方を巡行され、岐阜にお泊りになられました。

その際、岐阜提灯が天皇のお目にとまり、その名が全国に知れ渡るようになったのです。

 

 

【岐阜提灯の製作工程】

①ドウサ引き

ドウサとは、みょうばんを溶かした水に、にかわを混ぜた液体のことです。

このドウサを和紙に塗りますが、狙っている効果は大きく2つあります。

 

・和紙に、コシや艶を加える

・後工程で顔料を塗る際に、にじむのを防ぐ

 

和紙に色を付ける場合、薄い地色を塗っていく「地色引き」を行います。

 

②すり込み

参照元:尾関次七

 

提灯の明かりが灯る、和紙の覆っている部分を火袋と言います。

摺込師という職人の手によって、火袋に張る和紙に絵をすり込んでいく作業です。

以下の手順で行います。

 

・絵師が描いた原画をもとに木版を作り、輪郭部分をする。

・彩色したい箇所だけを取り除いた型紙を作成し、色をすり込む。

・絵柄によっては色彩を重ねる部分があるので、原画通りになるように繰り返しすり込んでいく。

 

すり込む回数分の型紙が必要であり、多い時には100枚を超える場合もあります。

また、このすり込みが、岐阜提灯の特色のひとつです。

 

③口輪・手板作り

木地師が行う工程です。

「口輪」「手板」、大内行灯の場合は「脚」を作ります。

 

*口輪 → 提灯の上下に付く輪のこと。ヒノキや杉の薄い板を張り合わせて作る。

*手板 → 提灯をぶら下げる時に使う板

 

④装飾

前工程で作製した口輪や手板などに、装飾を施していきます。

用いる技法の例は、以下の通りです。

 

・蒔絵

絵を描いた後に、金や銀の金属粉を蒔く技法

 

・盛り上げ

カキやホタテなどの貝類で作った白色の絵具を使い、何度も重ねて描くことで立体感を出していく技法

 

⑤提灯の型組・ヒゴ巻き

参照元:尾関次七

 

以下の手順で行います。

 

・張型を組み合わせ、提灯の原型を作る。

 (大きさによって、張型は6枚、10枚などの違いが出てくる。)

 

参照元:尾関次七

 

・張型にあいている穴に竹ひごを通して留めたら、張型に刻まれている溝に沿って、竹ひごを螺旋状に巻いていく。

・最後、張型の穴に再び竹ひごを留める。

 

岐阜提灯に使われる竹ひごの太さは1mmにも満たないので、とても高度な技術や技能を要します。

 

⑥張りつけ

参照元:尾関次七

 

以下の手順で行います。

 

・「提灯の伸びすぎ」「紙の破損」を防ぐために、竹ひごに糸をかける「糸かけ」を行う。

・上下の口輪から4~5本の竹ひご部分に、薄紙を張りつける「腰張り」を行う。

 (この部分が最も破損しやすいので、補強するための作業)

・小麦粉を精製して作ったのりを、竹ひごに塗る。

・ナデバケでなでながら、紙を一間おきに張っていく「下張り」を行う。

 余分な紙は、剃刀で切断する。

・残りに紙を張っていく「上張り」を行う。

 

上記の方法で紙を張るのは、絵柄を合わせやすくするためです。

上張りは絵柄が合うように、注意しながら行わなければいけません。

また、継ぎ目は約1mmという極細で、それ以外は切り落とします。

継ぎ目部分が太くなってしまうと、灯りにムラができてしまうからです。

 

⑦型抜き

張った紙を乾燥させたら、張型を抜き取ります。

張型を抜いた火袋は、ヘラを用いて丁寧に折り目をつけながらたたみます。

 

⑧絵付け・仕上げ

参照元:尾関次七

 

ここで行う絵付けは「すり込み」とは異なり、絵師が火袋に下書きすることなく、直接描いていきます。

 

竹ひごがあるので凹凸のある曲面になっていますし、絵柄の位置や色をすべて揃えて、数多くの製品に描かなくてはいけません。

絵師の画力はもちろん、熟練した技術や経験を必要とする、非常に手間のかかる工程です。

 

最後に、これまで作ってきた口輪や手板などを取り付けたら、岐阜提灯の完成となります。

 

 

 

 

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