【伝統的工芸品のご紹介】~天童将棋駒(山形県)~

【伝統的工芸品のご紹介】~天童将棋駒(山形県)~

【歴史】

山形県天童市は古くから将棋駒の産地として有名ですが、日本で生産される将棋駒の9割以上が天童市産です。

しかし、現在は「木地にスタンプで印字する押し駒」「機械彫りの低価格の彫駒」が広く普及したため、

伝統的な天童書体の書き駒の職人が少なくなっています。

 

1996年、天童の将棋駒は伝統工芸品に指定されました。

もっぱら実用品であった駒ですが、現在では工芸価値のあるものに変化してきています。

 

 

 

【製造工程】

①木地の準備

駒木地の原料となるツゲの板材を何年か乾燥させた後、駒のサイズに合わせて四角形に木取りをします。

木取りを行った中から木目模様の似た四角形を40枚選んだら、五角形の駒形に切りそろえます。

 

②40駒分の字母紙(じぼし)を作る

字母紙とは、駒の書体を印刷した紙です。

薄紙に40駒分の字を書き写します。 

 

③字を彫る

字母紙ができたら一枚ずつ切って、駒木地に貼りつけます。

その後、駒彫り台に固定し、印刀を使って一枚ずつ文字を掘り込みます。

 

④彫り埋め

40駒をすべて彫ったら、砥の粉(とのこ)と生漆(きうるし)で錆漆(さびうるし)を調合し、彫った部分を錆漆で埋めます。

漆は乾燥すると沈着するため、「錆漆で彫りを埋めて乾かす」という工程を、表面が平らになるまでくり返します。

 

⑤盛り上げ/瀬戸引き

彫りが埋まり、完全に漆が乾いたら、研磨紙で研出(とぎだ)します。

目の細い研磨紙で研出した後、瀬戸物で表面を磨くことを「瀬戸引き」といいます。

 

⑥盛り上げ/磨き

蒔絵筆を使って、漆で字を浮き出るように盛り上げていきます。

漆を立体的に、かつ均一に乗せるには、盛り上げ師の高度な技術が必要です。

 

こうしてできた盛り上げ駒は、プロ棋士が対局で使う最高級品となります。

 

 

 

【将棋/将棋駒とは】

将棋は2人で行うチェスに似たゲームで、縦横各9列の盤上に配置された20枚の駒を移動させ、相手の王将を詰めた方が勝ちです。

将棋の起源は11世紀頃で、古代インドで生まれた「チャトランガ」というゲームにあるとの説が有力です。

日本には、中国経由で伝わったと言われています。

また、将棋駒とは、盤上に並べて動かす用具のことです。

各駒を識別するため、先が尖った五角形の木片の表裏面に文字が書かれています。

なお、将棋の漢字表記は、日本で当てられたようです。

 

※指し駒、置き駒、将棋盤の重量は、使う素材や切り取る部位によって変わってきます。

 

 

【指し駒の読み方】

・王将:おうしょう x 2

・金将:きんしょう x 4

・銀将:ぎんしょう x 4

・角行:かくぎょう x 2

・飛車:ひしゃ x 2

・桂馬:けいま x 4

・香車:きょうしゃ x 4

・歩兵:ふひょう x 18

 

 

 

左馬(ひだりうま)の由来

左馬:昔から福を招くめでたいもの、商売繁昌の守り駒として人気があり、近年は競馬愛好者の間で静かなブームをまきおこしている。

 

①馬の字が逆に書かれていることから、ウマの逆はマウ(舞う)。

 古来、舞いはめでたい席で催されることから、縁起のよい招福の駒である。

 

②文字の下の部分が財布の巾着の形に似ており、口も締まっているように見えるので

 「入ったお金が散逸しない」という福のシンボルであると考えられている。

 

③普通、馬は人に引かれるものであるが、逆に馬に人が引かれて入ってくることから、客商売にとっては

 「千客萬来」「商売繁盛」に繋がると考えられている。

 

④馬は元来左から乗るものであるということから、左馬は乗馬のシンボルであり、これを持つ者は競馬に強いと言われている。

 

 

 

素材:西洋ツゲ

日本で国産黄楊材が不足していることから、色合いと硬さが似ている西洋ツゲが昭和40年頃より使われている。

※高知県安芸市の須藤信喜氏が北米より持ち帰り、繁殖栽培し、全国へ普及したといわれている。

 

 

 

素材:中国雲南省産黄楊

学問的には、日本産の黄楊と同じです。

しかし、育った土壌などの違いなのか、やや粘り気が少なく、堅くてもサクサクしています。

色合いも日本産とは微妙に異なり、やや渋めの色のものが多いようです。

 

 

 

素材:北米産スプルース

北米から輸入される主要な木材の一つで、材質は軟らかくて軽量。

色調は淡黄白色で、木目は素直で乾燥しやすく加工性がとてもよい。

 

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