【伝統的工芸品のご紹介】~彦根仏壇(滋賀県)~

【伝統的工芸品のご紹介】~彦根仏壇(滋賀県)~

【名称】

彦根仏壇

 

 

【彦根仏壇の産地】

滋賀県彦根市

 

 

【彦根仏壇とは?】

滋賀県彦根市で製作されている仏壇。

120cm以上の大型の仏壇が多く、材料も高級なものをふんだんに用いています。

大型金箔仏壇の中でも、高級品としてよく知られています。

 

生活様式の変化もあり、最近は仏間のない家も増えてきました。

そうした自宅にも置けるような小型のユニット式仏壇の製作をするなど、時代に合った取り組みも積極的に取り入れています。

 

1975年5月、仏壇として初めて伝統的工芸品に指定されました。

 

 

【彦根仏壇の特徴】

蒔絵(漆で文様を描き、乾く前に金属粉を蒔く技法)や金箔を豊富に使う、豪華で華やかな装飾が特徴です。

また、全面には、木地の自然な木目を活かす塗り技法が用いられています。

 

組み立て前に7つの工程がありますが、それぞれを専門の職人が行います。

「工部七職」と呼ばれ、皆が共同してひとつの仏壇を完成させるのです。

なお、完成までに要する期間は、2ヶ月~数年間に及びます。

 

・木地師

材料となる木材を使用し、仏壇の本体を作る職人。

 

・宮殿師

屋根や柱など、実際の寺院の建築と同様に木片を作り、精妙な技術によって組み立てていく職人。

 

・彫刻師

ノミや小刀などを用いて、繊細かつ細やかに「菩薩」「花」「天人」などを彫り上げていく職人。

 

・箔押師

彦根仏壇の内装には、金箔が施されます。

一枚ずつ丁寧に箔押しし、漆の上にはり合わせていく職人。

 

・蒔絵師

漆などで下絵を描いた後、金属粉を蒔き、加飾や磨き作業で描き加えていく職人。

 

・塗師

「下地」「中塗り」「上塗り」「研ぎ」「磨き」という5つの工程を、何度も繰り返し行う職人。

仏壇の材料は天然木なので、これらの作業を行うことで耐久性を向上させます。

 

・錺金具師

金属を彫ったり加工することで、装飾金具を製作する職人。

 

 

【彦根仏壇の歴史】

彦根仏壇の起源は、江戸時代の中頃であると伝えられています。

それまで長く続いていた戦のため、職人たちは鎧や兜などの製造を行っていました。

しかし、戦乱の世が終わることにより、職人たちが武具製作の技術を用いて仏壇作りを始めたのです。

 

彦根道の芹川付近に、何度も道が屈曲しているので「七曲」と呼ばれている地域があります。

そこに多くの職人たちが集まり、仏壇制作が本格的に行われるようになりました。

今もなお、仏壇の製作や販売を行っている業者が多く建ち並んでいます。

また、当初から分業制で製作されており、先述の「工部七職」もその流れを引き継ぐ形です。

 

一般家庭でも仏壇を置くことが広まったことや、彦根藩主による仏壇産業の保護奨励もありました。

そして現在も、その伝統技術は次の世代へと引き継がれています。

 

 

【彦根仏壇の製作工程】

①木地

 

彦根仏壇の素材となるのは、ケヤキ、ヒノキ、スギ、マツなどの天然木材で、かつ厳選した素材です。

本体は、「ほぞ組」と呼ばれるクギを一切用いずに組み立てる技法で作られます。

 

また、彦根仏壇は設計図がありません。

高さや幅などの製作に必要な寸法は、全ての値が刻まれている「杖」という棒を基準にします。

杖は使い回すことがなく、新しく仏壇を製作する度に作られます。

 

②宮殿高欄

 

宮殿師が仏壇制作に必要な「破風」「虹梁」といった各部品を作り、念入りに組み立てていく工程です。

部品の数は千を超えることが珍しくなく、柱や瓦などの細やかなところまで本物の寺院と同様に作られます。

 

・宮殿

本尊を祀る「須弥壇」の上にある屋根の部分

 

・高欄

須弥壇の端にある手すりのような部分

 

③彫刻

 

彫刻師の手によって、装飾が必要な場所に模様を彫り上げていく工程です。

さまざまな彫刻技法、そして100種類を超える彫刻刀を駆使しながら、仏や天女、動物などを丁寧に彫っていきます。

 

とりわけ高度な技術を要するのが、欄間。

使用するのが一枚板であり、奥行だけではなく厚みもある彫刻が必要だからです。

 

④錺金具

 

仏壇を一基作るのに必要な金具の数は、300を超えます。

以下のような技法を用いて、多様な金具の製作を行うのが錺金具師です。

 

・毛彫

唐草などの細い文様を彫り込んでいく技法

 

・地彫

地金を盛り上げることで、立体的な文様を作り出す技法

 

・浮彫

平面に文様などが浮き出るように彫っていく技法

 

⑤漆塗り

 

塗師が、仏壇全体に天然漆を塗っていく工程です。

木地に塗ることによって、耐久性も増します。

塗りや研ぎを何回も繰り返すことで、漆が持つ独特の色合いを表現していきます。

 

自然な木目の持つ美しさを際立たせる塗り技法を「木目出し塗り」と言いますが、熟練した技術が必要であり、彦根仏壇の特徴でもあります。

 

⑥蒔絵

 

蒔絵師が、色漆で花鳥や人物などを描いていく工程です。

漆で描くだけではなく、その上に金属粉を蒔いたり青貝を貼ることによって、煌びやかな見た目に仕上げます。

漆を厚く重ねて立体的にする「泥盛蒔絵」など、さまざまな技法があります。

 

⑦金箔押し

 

金箔を貼ることを「金箔押し」といい、この作業を行うのが金箔押師です。

豪華な外見が彦根仏壇の特徴ですが、その理由のひとつが1000枚以上貼られている金箔であると言えるでしょう。

 

金箔を付けるために使う「箔押漆」を塗ったら、その上に金箔を乗せ、手で押しながら貼っていきます。

押し方によって貼られた金箔の見た目や輝き方に変化があるため、職人の卓越した技術を必要とします。

 

⑧組み立て

ここまで7人の職人によって作られた各部品を、最終的に組み立てていく工程です。

先述の通り設計図がないため、完成時の姿を想像しながら行っていきます。

 

 

 

 

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