【伝統的工芸品のご紹介】~岩槻人形(埼玉県)~

【伝統的工芸品のご紹介】~岩槻人形(埼玉県)~

【名称】

岩槻人形

 

 

【岩槻人形の産地】

埼玉県さいたま市岩槻区

 

 

【岩槻人形とは?】

埼玉県さいたま市岩槻区(旧・岩槻市)で製作されている人形。

 

岩槻は、桐たんすをはじめとして、さまざまな桐製品が作られている地域でした。

また、人形の塗装に使用する胡粉(カキ、ホタテなどの貝殻から作られている白色の顔料)と相性の良い良質な水にも恵まれていたということもあり、人形製作に適した環境が揃っていたのです。

 

雛人形、五月人形、歌舞伎人形、市松人形といった、さまざまな種類が作られています。

生産量が日本一で「人形のまち」として知られており、歴史や文化を感じ取れるイベントが行われています。

 

2007年3月、伝統的工芸品に指定されました。

 

 

【岩槻人形の特徴】

特徴として挙げられる点は、主に3つあります。

・他の人形と比較して、頭と目がやや大きい

・ふっくらとした丸顔をしている

・大振りで、彩りが華やかな衣装

 

人形の肌には胡粉が塗られており、とてもなめらかで美しい仕上がりになっています。

また、髪は人の毛に似た柔らかな生糸が使われているので、まるで本物のようです。

髪付け師によって、植え付けや飾りつけなどが一体ずつ丁寧に行われています。

 

 

【岩槻人形の歴史】

岩槻人形の製作が行われるようになったのは、江戸時代です。

 

きっかけとなったのは、1636年に開始した日光東照宮の造替。

当時の将軍・徳川家光は、全国から優秀な工匠を招集します。

岩槻は、江戸から日光に至るまでの最初の宿場町であったことから、そのまま住み着く工匠も多かったのです。

中には人形製作を得意とする者がいて、その技術を次第に広めていったことが、人形のまちとしての基盤になりました。

現在も使われ続けている「桐塑頭」という技法が江戸時代に誕生したのも、こうした環境のおかげかもしれません。

 

江戸時代に、雛祭りに飾る人形や調度品を販売する市である「雛市」が始まります。

その頃には、岩槻は関東一の雛人形の生産地となっていました。

 

岩槻藩の政策や技術の進歩により、代表的な産業へと発展します。

江戸という大きな市場が近くに存在したことも、岩槻人形が栄えたひとつの要因かもしれません。

 

 

【岩槻人形の製作工程】

①頭作り

 

「人形の良し悪しは顔で決まる」と言われるほど、頭作りは重要であり、巧みな技術を要する工程です。

 

頭の製作には、桐塑という粘土を用います。

桐塑は、桐の粉末に正麩のり(小麦粉から抽出したデンプンを煮溶かして作る)を混ぜ合わせたものです。

 

まず、桐塑を型に入れ、乾燥させたものを土台にします。

衣装をつけた人形を製作する場合、最初にガラスなど専用パーツをはめ込んで「目入れ」を行います。

(人形の種類によっては、筆で目を描き入れることもあります)

 

目入れの次は、顔です。

乾燥した生地に、にかわと水で溶いた胡粉を塗ります。

複数回塗ることで、なめらかな肌に仕上げていきます。

合間に口切りを行い、鼻や唇など顔の凹凸を「置き上げ」によって表現します。

肌にツヤを出すために磨いたら、次に行うのが表情作りです。

 

表情作りには、とても細くて鋭い穂先を持った「面相筆」を使います。

眉毛やまつ毛を繊細に描き、頬には紅をさし、口紅も入れます。

口元に歯や舌を入れることで、生き生きとした表情を作り上げていきます。

最後に髪の毛を植え付け、結い上げたら頭の完成です。

 

②手足作り

手足の土台になるのも、型抜きした桐塑です。

胡粉とにかわを何度か塗り重ねて乾燥させたら、小刀を用いて細かい箇所の形を整えます。

ツヤを出すために磨いたら、手足の完成です。

人形の種類によっては、足の爪に色をつける場合もあります。

 

③胴作り

 

縛り固めたワラの束に和紙を貼り、土台を作ります。

作業を行いやすくするために固定したら、襟元の形を整える「襟巻」を行います。

 

次に行うのが、手足を付ける作業です。

手足は曲げていることが多いので、曲げた針金の上から、ワラで肉付けします。

 

最後に行うのが、衣装付けです。

衣装はすべて人が着るものと同様に作られており、生地は西陣織などの豪華な織物を使うこともあります。

着付け後に衣装がくずれないように和紙を裏貼りした後、裁断したら部分ごとに作り上げておきます。

 

すべて着付けた後、人形のポーズを作るために腕折りをしたら、胴の完成です。

 

④小道具作り

 

段飾りの雛人形だと、全部で20以上の小道具が必要になります。

小道具師によって作られますが、例えば檜扇の絵付けも、ひとつずつ丁寧に手描きされています。

 

⑤組み立て

ここまで製作してきた頭、胴体、小道具を組み立てます。

もし衣装や神に乱れがあれば整えて、岩槻人形の完成です。

 

 

 

 

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