【伝統的工芸品のご紹介】~山鹿灯篭(熊本県)~

【伝統的工芸品のご紹介】~山鹿灯篭(熊本県)~

【名称】

山鹿灯籠(やまがとうろう)

 

 

【山鹿灯籠の産地】

熊本県山鹿市

 

 

【山鹿灯籠とは?】

参照元:熊本市

 

熊本県山鹿市およびその周辺で製作されている、「和紙」と「のり」のみでできている灯籠や建造物のこと。

特に有名なのが、毎年8月15&16日の2日間に行われる「山鹿灯籠まつり」において、浴衣を身にまとった女性たちが頭に乗せている「金灯籠」です。

その他、実在する神殿や城などの建造物をミニサイズにして、細かい点まで精妙に再現しているものも「灯籠」と呼びます。

 

灯籠師たちは、祭りの開催に合わせるように灯籠の製作を行います。

山鹿灯籠まつりの神事や伝統行事は大宮神社で行われ、最後に灯籠は奉納されます。

そして、翌年のまつりまでの1年間、大宮神社の灯籠殿に展示されるのです。

製作される灯籠の種類は「神殿造り」「城造り」など豊富で、繊細でありながら圧倒的な存在感を放っています。

 

2013年12月、伝統的工芸品に指定されました。

 

 

【山鹿灯籠の特徴】

最大の特徴は、製作方法です。

材料として使われるのは「和紙」と「のり」のみで、木や金具などの留め具は一切用いません。

作品には曲線部分も出てきますが、のりは使わずに、紙の厚さを上手く使って貼り合わせていきます。

このように、ハサミや定規などの小道具は使いますが、どの工程においても職人たちの細やかな技術が必要です。

 

建造物の灯籠を製作する時に、実際の縮尺比率だけではなく、独自の寸法を加えています。

これにより、まるで本物を目の前で見ているような迫力を感じることができます。

灯籠師たちの匠の技によって、材料に使われているのが紙だけとは思えないほど、荘厳な雰囲気や華麗さが表現されています。

 

 

【山鹿灯籠の歴史】

参照元:山鹿探訪なび

 

起源についてはさまざまな説がありますが、中でも有力なのが第12代天皇・景行天皇の時代である西暦71~130年頃です。

天皇たちが九州各地を回っている時に、山鹿を流れている菊池川で、濃霧の影響でさまよってしまいました。

たいまつを掲げた山鹿の人々が天皇一行をお迎えし、無事に大宮神社までお連れしたという言い伝えです。

それ以降、人々は大宮神社に天皇を祀り、毎年灯火を献上するようになります。

時が経ち室町時代になると、灯火は紙製の金灯籠に姿を変えました。

江戸時代に入り、富者たちが灯籠師に依頼し、さらに豪華な灯籠を製作させるようになります。

こうして現在のような座敷造り、神社や寺などの灯籠の作製・奉納がされるようになったという記録が残っています。

 

山鹿灯籠が隆盛した理由のひとつとして、和紙作りの原料と技術のふたつが揃ったことが挙げられます。

原料でいえば、山鹿地方は和紙のもとになるコウゾの栽培が行われていました。

また、肥後の紙すきの始祖と名高い慶春、道慶という職人を、加藤清正が招いたのです。

二人は山鹿に移り住み、紙すきの技術を住民たちに伝えました。

その技術が子孫にも受け継がれていき、周辺の地域にも伝わっていきました。

このように山鹿地域で和紙の生産が盛んに行われていたことも、山鹿灯籠に大きな影響を及ぼしていると考えられています。

 

 

【山鹿灯籠の製作工程】

①裏打ち

金灯籠の表面に使用する金や銀の装飾氏の裏側に、和紙を貼り合わせる作業を「裏打ち」と言います。

最後に乾燥させたら、この工程は完了です。

 

②歩つき

灯籠紙の上に歩紙を置いて、針を使って上から「切り線」と「折れ線」の印付けの穴をあけていく工程です。

なお、歩紙とは、各部品の寸法(小さな穴)が記されている紙をいいます。

 

③蛍貝引き

歩つきで付けた切り線の印(針であけた穴)を繋ぐように、蛍貝というヘラを用いて折り線を引きます。

また、切り線の記には鉛筆などで線を引き、切る時の目安にする工程です。

 

④天井切り・束柱切り・六角切り

切り線に沿って紙を裁断する工程です。

同時に、折り線に折り目を付け、後工程の準備をします。

なお、「天井」「束柱」「六角」とは、灯籠を構成する各パーツの名称です。

 

⑤型紙毛がき

型紙の形を灯籠紙に書き写す工程です。

灯籠に曲線部がある際に行います。

 

⑥擬宝珠切り・台座切り・灯袋切り・紋柱切り・欄間切り・弓切り・紋紙切り

型紙毛がきした灯籠紙を、線に沿ってパーツごとに裁断していきます。

 

※擬宝珠:金灯籠の先端部分のことで、形だけではなく製作する技術においても金灯籠のシンボル

 

⑦置揚げ・そくいのり付け

のりしろを作らずに紙を貼りつけていく方法が、置揚げです。

曲線や紙の厚みを必要とする、立体的なパーツを作成する際に用います。

 

また、パーツの小口にのりを付ける作業を、そくいのり付けと言います。

のりを付けたパーツを貼りつけていき、立体を組み上げていきます。

 

※そくいのり:ごはん粒を練り潰して作ったのり

 

⑧小口つけ

小口つけとは、のり付けしたパーツを、ピンセットを用いながら曲線に沿うように正確に貼りつけていくことです。

擬宝珠には6枚の灯籠紙を用いますが、小口つけで丁寧に組み上げていきます。

 

⑨全体組み立て

天井などの個別で組み立てた各部位を使い、全て組み立てたら完成です。

なお、金灯籠は約200のパーツで構成されており、製作には3日ほどかかります。

(灯籠の種類・サイズによっては、製作に数ヶ月を要することもあります。)

 

 

 

 

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