【伝統的工芸品のご紹介】~越前焼(福井県)~

【伝統的工芸品のご紹介】~越前焼(福井県)~

【名称】

越前焼(えちぜんやき)

 

 

【越前焼の産地】

福井県丹生郡越前町

 

 

【越前焼とは?】

福井県丹生郡越前町で製作されている陶磁器で、日本六古窯の一つです。

日本六古窯とは、中世(平安~戦国時代)から現在に至るまで、

日本古来の伝統的技術が伝承されながら生産が続いている代表的な6つの窯を言います。

 

越前以外では、以下が認定されています。

・備前焼(岡山県備前市)

・丹波焼(兵庫県篠山市)

・信楽焼(滋賀県甲賀市)

・瀬戸焼(愛知県瀬戸市)

・常滑焼(愛知県常滑市)

 

1986年3月、伝統的工芸品に指定されました。

 

 

【越前焼の特徴】

越前焼の主な特徴は、以下の3つです。

・釉薬を用いず焼いている

・絵付けをしないことも多い

・陶器と磁器の中間的な性質を持つ焼き物である(炻器・せっき)

 

釉薬は用いませんが、焼く時に使う薪の灰が器に降りかかって溶け、自然に釉薬状になります。

これを「自然釉」と呼びますが、狙ってできるデザインではないところや風合いも備前焼の魅力です。

先述の通り備前焼は炻器ですが、「半磁器」「焼締め」とも呼ばれています。

 

絵付けはありませんが、シンプルな茶褐色は飽きが来ないです。

また、備前焼は丈夫で、水も通しません。

「水などを保存する用の甕」「壺」「おちょこやぐい呑みなどの酒器」「茶道具」

「すり鉢などの台所用品」といった日用品として、長年に渡って幅広く使われてきました。

 

 

【越前焼の歴史】

越前焼の始まりとされるのは平安時代の終わり頃で、現在から850年程前です。

元は須恵器を焼いていましたが、常滑の技術を取り入れて焼締めで陶器を作り始めたのが

きっかけではないかと言われています。

 

室町時代後期になると、北海道から鳥取県という広い範囲に北前船で運ばれ始めます。

北前船というのは、「大阪~下関~北海道」といった西回り航路に従事していた船のことです。

こうして越前焼は幅広い地域で取引されるようになり、知名度も上がって全国的に普及・発展していきました。

 

明治時代になると、日本国内でも西洋化が進み、壺などの需要がまたたく間に落ち込んでしまいました。

高級路線に活路を見出す窯も出てきましたが、

当初から一貫して生活日用品を製作していた越前焼は、衰退し続けることになってしまいます。

転機が訪れたのは、第2次世界大戦後。

古い時代に作られた窯跡の調査が行われるようになり、

長年続いてきた越前焼の文化的価値が再評価されるようになりました。

 

さらに復興の後押しとなったのが、1970年に建設された越前陶芸村です。

全国各地から陶芸家はもちろん、観光客が数多く集まるようになり、窯元の数が一気に増えました。

越前焼は、見事にV字復活を果たします。

 

 

【越前焼の製作工程】

①底作り

原料となる土を採取することから始まります。

主に採取するのは、越前町地域に特有な土である「赤べと」「青ねば」「太古土(たこつち)」の3つです。

採取後、混ぜ合わせて粘土を作ります。

水に粘土を混ぜたらよく撹拌して、砂や石などの不純物を除去し、

粒子の細かい土だけにする「水簸(すいひ)」を行います。

水簸が完了したら、成形できるように粘り気を出したいので、しばらく土を寝かせます。

その後、菊練りを行ったら陶器用の粘土は完成です。

 

 

製作する器の形によって、用いる成形方法が異なります。

 

・円形の場合

ろくろを使用。

木台を置いたら、器の底にするために土をしっかりと固定させ、底土を作る。

 

・角形、その他複雑な形

粘土と水を混ぜて、「泥漿(でいしょう)」を作る。

石膏でできた型に「泥漿」を流し込んで成形する。

 

②ねじ立て

太さ5~10cm、長さ40cmほどのひも状である「より土」を作ったら、

より土を両手を上手く使ってねじりながら底土に巻きつけていきます。

1段だけではなく、同じ作業を繰り返して何段も積み上げます。

この方法は「輪積み成形」と呼ばれています。

 

③はがたな伸ばし

何段も積み重ねて円筒状になった粘土を、「はがたな」と呼ばれるコテを使って表面の凹凸をなくしていきます。

 

・器の外側

段の接着部分にある継目を、はがたなで上から下にこすりつつ周辺をならしていく。

 

・器の内側

側面を扇形に広げるように、はがたなで粘土を伸ばしていく。

 

④乾燥

完成形の下半分までできたら、いったん乾燥させます。

これから作る上半分の重さに耐えうる状態にするためです。

 

十分乾燥させた後、②と③の作業を繰り返し、器の上半分を作ったら全体像の完成です。

 

⑤口作り

木綿の布に水を含ませて濡らしたら、器の最上部にかぶせます。

両手をうまく使いながら土を伸ばし、思い描く口の形に仕上げていくのが「口作り」です。

指の使い方であらゆる形にすることが可能なので、まさに職人たちの腕の見せ所となる工程です。

 

口作りの完了後、器を1,200~1,300℃の高温で焼き上げていきます。

 

 

 

 

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