【伝統的工芸品のご紹介】~結城紬(茨城県)~

【伝統的工芸品のご紹介】~結城紬(茨城県)~

【名称】

結城紬(ゆうきつむぎ)

 

 

【結城紬の産地】

茨城県結城市、栃木県小山市など鬼怒川周辺の地域

 

 

【結城紬とは?】

奈良時代から現在まで、鬼怒川流域である茨城県結城市や栃木県小山市などで製作されている絹織物のこと。

鎌倉時代に下総一帯を治めていた結城氏から名前を取り、「結城紬」と呼ばれています。

元々は、養蚕業が栄えた地域で、副業として生産されていました。

 

素材は「真綿(まわた)」で、蚕の繭を煮て柔らかくした後、広げられたものです。

この工程を経ることで、空気を豊富に含み、触り心地がとても優しく感じられます。

真綿の中でも最高品質の糸を用いて、結城紬は作られます。

時間の経過とともに変化する風合いが多くの人々を魅了しており、何代にも渡って継承されている絹織物です。

 

1977年3月、伝統的工芸品に指定されました。

 

 

【結城紬の特徴】

主な特徴は、「軽い」「柔らかい」「保温性が高い」ことです。

素材となる真綿から、職人の手によって丁寧に一本ずつ紡ぎ出された上質な糸を用いて、結城紬は作られます。

紡ぎ糸は空気を多く含むので、軽いうえに暖かいです。

また、細分化すると30以上の工程がありますが、全て手作業で行われます。

 

 

【結城紬の歴史】

結城紬は、奈良時代には既に、朝廷への貢物として献上されていたと伝えられています。

当時は「あしぎぬ」と呼ばれており、手で紡いだ太糸の絹織物(=あしき絹)でした。

あしき絹は、さまざまな紬織物の原型であると言われており、現在でも日本の各地に残っています。

 

鎌倉時代に「結城紬」と呼ばれるようになると、全国的にその名が知れ渡るようになりました。

 

江戸時代に入ると、幕府の代官であり備前守であった伊奈忠次が結城紬の発展に尽力し、

新しい染色方法を作り出しました。

 

大正時代の終わりに、「経緯絣(=染め分けるため、経糸も緯糸もくくって織るもの)」という技法が誕生します。

それまでは、縦・横のどちらかのみくくって織ることが一般的でした。

縦・横どちらもくくって織り、何千本にも及ぶ糸を合わせるのは、職人たちの高い技能が必要とされます。

この「経緯絣」によって、結城紬の品質は一気に向上しました。

 

戦後にさまざまな技術革新が進み、絣はより細かく作りこまれるようになります。

その結果、糸も細いものが使われるようになり、織物の軽量化がさらに進む要因になりました。

 

 

【結城紬の製作工程】

①真綿かけ

手順は、以下になります。

・重曹を入れたお湯で、繭を2時間ほど煮る。

・繭が柔らかくなってきたら、お湯を常温に戻す。

・丁寧に広げつつ5~6枚を重ねていくことで、1枚の真綿にする。

 

言葉にすると簡単そうな真綿かけですが、体得するのが難しい技術です。

その大変さは、「綿かけ8年、糸紡ぎ3年」という言葉があることからもわかります。

 

なお、結城紬を1反(約1,000平方メートル)作るためには、真綿が約350枚必要です。

 

②糸紡ぎ

手順は、以下になります。

・真綿を広げたら、「つくし」に巻きつける。

・片方ので糸を引き出し、もう一方の手で真綿をまとめながら紡いでいく。

・紡いだ糸を「おぼけ」と呼ばれている桶にまとめていく。

 

糸紡ぎも真綿かけ同様、高度な技術を必要とする作業です。

また約94gの紡いだ糸を1ボッチと言い、約50枚分の真綿に相当します。

1反の結城紬を作るのに必要なのは、約7ボッチです。

1ボッチためるのに7~10日ほどかかるので、1反分の糸を紡ぐのに2~3ヶ月という長い時間を要します。

 

※つくし

参照元:奥順株式会社

 

※おぼけ

参照元:奥順株式会社

 

③管巻き

おぼけにたまった糸を、糸車を使って管に巻いていきます。

シンプルな作業ではありますが、適度な巻きスピードを維持する必要があります。

なぜなら、早すぎると糸がもつれてしまい、遅すぎるとたるんでしまうからです。

 

④綛あげ(かせあげ)

かせあげ機を用いて、糸を巻いていきます。

 

この作業を行うことで、この後の工程で糸が扱いやすくなります。

 

⑤機延べ

糸の長さを揃える作業を、機延べと呼んでいます。

延べ台に糸を巻いたら、1~数反分の長さに揃えます。

 

⑥デザイン作成

紙にデザインを描き入れていく作業です。

昔はごく簡単な模様がほとんどでしたが、大正時代以降に大きく変化しました。

花や鳥などの絵画的文様である絵絣が用いられることが増え、十字や亀甲などの細工絣も誕生しました。

 

⑦絣くくり(絣くびり)

デザインの中には、染めない部分も出てきます。

絣糸を綿糸で縛ることで染めない箇所を作り、模様をキレイに入れていく工程です。

一般的に、反物を作る際の一幅には、少なくとも80個、多い時には200個もの亀甲が入ります。

1つの亀甲には2つの縛りが必要になるので、もし200個の亀甲がある場合には、相当な手間と時間がかかります。

長ければ、3ヶ月ほど要すことも珍しくありません。

 

⑧染色

結城紬では、「たたき染め」で染色します。

これは、糸を台に叩きつけながら染料を染み込ませていく方法です。

叩く力が強すぎると色が染み込みすぎてしまいますし、

染めムラが出ないように繊細な力加減や集中力が必要になります。

 

⑨ノリ付け

ノリ付けを行う理由は、主に2つあります。

・糸のコシを強くする

・毛羽立ちを少なくする

 

ノリが濃すぎると織りづらくなってしまうので、どれくらいの濃度にするかは職人の腕の見せ所です。

 

⑩筬通し

櫛(くし)状の筬に、ヘラを用いながら糸を差し込んでいく作業です。

筬通しは、機織り機に紡いだ糸を載せるために行います。

 

⑪機巻き

筬に通した経糸を、「緒巻」に巻いていきます。

 

この緒巻を機織り機に備え付けたら、緯糸を織っていきます。

 

⑫機織り

結城紬では、「地機(じばた)」と呼ばれる機織り機で織っていきます。

 

短くともひと月、長ければ1年に及ぶこともあり、労力と時間を要す作業です。

なお、地機は「日本最古の織り機」と言われています。

 

横に張っている経糸は腰当てに結びつけ、織ります。

一方、緯糸は筬で打ち込んだ後、さらに「杼(ひ)」でも打ち込みます。

この作業を経ることで、結城紬独特の風合いが作られていくのです。

 

⑬縞屋

紬が織り上がって検査に合格したら、問屋である「縞屋(しまや)」で取引が行われます。

縞屋と呼ばれているのは、昔の結城紬は圧倒的に縞柄が多かったことに由来していると言われています。

 

⑭ノリ抜き

着物に仕立てる前に、最後に行うのがノリ抜きです。

お湯に通して、糸の芯に少しだけノリを残すようにします。

この工程を行うことで、結城紬独自の柔らかさや風合いが出てくるのです。

 

 

 

 

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