【伝統的工芸品のご紹介】~唐津焼(佐賀県)~

【伝統的工芸品のご紹介】~唐津焼(佐賀県)~

【名称】

唐津焼(からつやき)

 

 

【唐津焼の産地】

佐賀県唐津市周辺、長崎県北部

 

 

【唐津焼とは?】

佐賀県唐津市周辺、長崎県北部で焼かれている陶磁器のこと。

「一楽、二荻、三唐津」という言葉が、安土桃山時代(約400~450年前)からあります。

当時から茶道の世界で人気を博し、代表的な器として茶人から重宝され続けているのがわかるのではないでしょうか。

また、「絵唐津」「朝鮮唐津」「黒唐津」など、約20種類の作風があります。

1988年に、伝統的工芸品に指定されました。

 

 

【唐津焼の特徴】

土を感じさせる味わいのある素朴な風合い、そして数多くの装飾技法があることが特徴です。

シンプルながら深みのある作風が好まれて作られていることから、

料理や花を引き立ててくれる器としても人気があります。

作業を分業で行うことなく、職人が一気通貫で全ての作業を行うことが多いです。

 

唐津焼が大切にしている、「作り手八分、使い手二分」という考え方があります。

これには「作品は作ったら完成なのではなく、使ってもらって初めて真の完成と言える」という

信念が込められているのです。

 

 

【唐津焼の歴史】

唐津焼の始まった時期について、現在は2つの説があります。

1592年に豊臣秀吉が朝鮮出兵をしましたが、その際に連れ帰った朝鮮の職人たちによって

作られたのが始まりではないかという説。

そしてもう一つ、それ以前の1580年頃には既に作られていたという説が、昨今の研究によって新たに出てきています。

 

作り始められた頃、日々の食卓に使われることが多かったそうです。

次第に、唐津焼の持つ素朴さ、そしてわびさびを感じる味わいが好まれ、

茶道具としての地位を築いていくことになります。

今から約400~450年前の安土桃山時代には、茶器としての地位を確立し、

「焼き物といえば唐津もの」と言われるほど名が知れ渡るようになりました。

 

しかし、江戸時代以降に窯場が増え、山が荒廃してしまいます。

佐賀藩は山林保護のために取り締まりを始め、窯元を取り壊し、同じ藩内の有田に窯元がどんどん移されたのです。

こうした影響により、唐津の窯元は減少し続けることに…。

唐津焼存続の危機となりますが、人間国宝・中里無庵によって技術が復元され、

その伝統技術は伝承され続けています。

なお、現在の窯元数は70ほどまで回復してきました。

 

 

【唐津焼の製作工程】

①陶土の採掘

唐津焼は、土の特徴がそのまま作品に現れます。

「唐津焼の魅力は土で決まる」という言葉があるほどで、作品に合った土をいかに採掘できるかがとても重要です。

土を採取したら、まずは土削りを行います。

「削り鎌」を用いて土を削っていき、「槌(つち)」を使って土表面の凹凸をなくしていきます。

根気のいる作業ですが、質の良い焼き物を作るために重要ですし、丁寧に行わなくてはいけません。

 

②土踏み

土削りを行った土に水を混ぜ、踏む作業です。

踏んで粘土が円盤状になったらカットして、再度踏みます。

「焼き物を作るのに適切な固さ」はまさに職人たちの経験や感覚が必須ですが、

一朝一夕に身につくものではありません。

何度も行って、感覚として体で覚えていく必要があります。

土踏みが完了したら、玉状に成形しながら分けていきます。

 

③土練り

玉状に成形した土を、丹念に練っていく作業です。

よく練ることで土の中に含まれている空気を抜きつつ、土の粒の大きさを均一にしていきます。

練り終わったら、今度は土を砲弾形に形作ります。

 

④成形

さまざまな成形方法があり、代表的なものは以下の通りです。

どのような焼き物を作りたいのか、それぞれに合った方法で成形していきます。

 

・ろくろ成形

手に水をつけて、回転させたろくろを触って成形していく技法。

モーターでろくろを回す「電動ろくろ」、自分の足で蹴ってろくろを回す「蹴ろくろ」も同様。

 

・叩き

内側に「当て木」をしながら、粘土を円筒形に積み上げていく技法。

目的の高さまで積み上がったら、「シュレイ」などの道具を使って叩きながら成形します。

 

・板おこし

古唐津特有の技法。

 

 

・紐作り

土を紐のように細く長く引き伸ばして、それを輪状に積み上げていく技法。

 

※成形が完了したら高台の削りを行い、成形した粘土を自然乾燥させます。

 

⑤加飾

彫りの他、「櫛目(くしめ)」「象(ぞう)がん」「刷毛目(はけめ)」といった

伝統的技法を用いながら加飾します。

加飾後、絵付けを行うものは素焼きします。

 

※絵付けを行う前に、低温で素焼きする場合もあります。

 

⑥絵付け・施釉(せゆう)

一般的には毛筆、刷毛(はけ)を用いて絵付けを行いますが、職人の中には自身の指や竹を使って描く人もいます。

器は平面ではないことがほとんどですし、消しゴムで消すなど描き直しもできません。

完成時に、思い描いていたイメージ通りに表現することは非常に難しいです。

ここまでの作業同様、幾度の実践と修練が必要です。

 

絵付け完成後、施釉(せゆう)をしてから乾燥させます。

 

⑦本焼成

乾燥させた作品を1250~1300℃の高温にした窯に入れ、焼き上げていきます。

温度や焼く時間によって完成後の風合いが全く異なるので、長年の経験や勘など、卓越した技術が求められます。

 

 

【唐津焼の種類】

土や技法によって、さまざまな種類の唐津焼が誕生してきました。

代表的なものを紹介します。

 

・絵唐津

参照元:唐津焼 ONLINE

 

日本初の絵付けは、唐津焼であると言われています。

「花や草木、鳥などの絵」と「周囲の余白」とのバランスが美しい、唐津焼を代表する種類。

施釉は透明なものを使用します。

 

・無地唐津

参照元:唐津焼 ONLINE

 

絵付けはせず、一種類の施釉のみを使用して焼き上げます。

唐津焼の中で最もシンプルな種類。

 

・斑唐津

参照元:唐津焼 ONLINE

 

白濁した施釉を使うことで、焼き上げ後に乳白色になっているのが特徴です。

斑点が表面に現れることから、この名が付きました。

 

・朝鮮唐津

参照元:唐津焼 ONLINE

 

二種類の施釉を使うことによって、上下や左右で異なった色のコントラストやグラデーションが特徴です。

 

・黒唐津

参照元:唐津焼 ONLINE

 

鉄分を多く含んだ施釉を使って焼き上げることで、黒っぽい色になるのが特徴です。

鉄分の量はもちろん、酸化具合によってもさまざまな色合いを見せてくれます。

 

・三島唐津

参照元:唐津焼 ONLINE

 

「花形の型押し」「線彫」などの文様が特徴的です。

彫った箇所には別の土を塗りこむので、模様がとても際立って見えます。

 

・粉引

参照元:唐津焼 ONLINE

 

素地が半乾きの内に、白い化粧土をかけて焼き上げる技法です。

近代になってから唐津焼に取り入れられました。

 

 

 

 

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